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影響力 その効果と威力

『影響力 その効果と威力』今井 芳昭,光文社新書,2010年4月

社会心理学の成果を踏まえながら、人々の行動や判断に影響を及ぼす効果と威力について書かれたもの。新書版ということもあり論点が非常にわかりやすく、また、非常に興味をそそる事例が多く紹介されています。

私の全くの勘違いかもしれませんが、「社会心理学」というと数学とか統計学を駆使する学問という印象が強く近寄り難いもの、と思い込んでいました。もしかしたら裏側ではそういう世界なのかもしれません。それはともかく、心理学関連の研究成果を一般人に分かりやすく解説してくれる本は読んでいて理屈抜きで面白く、ありがたいです。

「影響力」には興味深い、いろいろな切り口がある事が紹介されています。私は先に読んだ『影響力の武器』(N.J.ゴールドスタイン他)では、影響力を6つに分類していました。本書で触れられた内容もいくつかあったように記憶しています。今井芳昭氏の本書では、だいたい10個くらいに分類していますが、あくまで目安と考えた方が良いように思います。

「狼に育てられた少女」の話が実はウソだったというのは本書で初めて知りました。高校の「倫理・社会」の時に当時の先生が配った副読本のような資料の中でこの話が紹介されていたのを憶えています。何事もそうなのですが、書いてある事を頭から信用してはいけないという教訓なんですねえ。

ミルグラムの実験は『影響力の武器』の中でも紹介されていましたが、この実験はその後バーガーという学者が追試を行っている事、実験を行う際の倫理的な問題がいろいろある事などがわかって大変興味深く読みました。
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テーマ : 新書・文庫レビュー
ジャンル : 本・雑誌

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