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没落する文明

没落する文明』萱野 稔人,神里 達博, 集英社新書, 2012年2月


哲学者萱野稔人氏と科学史家宇野常寛氏による文明をめぐる対談。先の震災および原発事故にともなう自然環境・エネルギー等について語られることが多いが、この2人の対談は具体的な事象から少々距離を置き、人間活動の根底を規定するものとして捉える。

日本には革命が無かったと言われる。その役目を天災が担ってきたという見方が興味を惹く。社会システムには寿命があり、「古い利権や人間関係でがんじがらめ(神里)」になっているなかで、天災がそれらをリセットする働きがあったというのである。確かに、日本では今でも現場の人間がアメーバーのように自律的に判断するときにいちばん能力が発揮される。そして強いリーダーは疎んじられる傾向がある。大災害によって統率権力が無力であることをみな思い知る。

震災があった後の、まっさらな環境には「復興特区」が設定される。それまでの細かい規制が撤廃され、はじめて、のびのびと新しいことが始められる。

江戸末期の安政の大地震(1854年)も象徴的である。

天災を所与のものとして文明を構築すべきであるということは、わかっているようで、なかなか難しい。だが、噴火による降灰や、洪水、津波に対しては、事前にやれる事がある。100%の防備は無理としても、個人ベースでの備えは行いたい。例えばだが、我が家では洪水・津波対策の一つとして、浮き輪を膨らましたものを常時置いてある。海に近い地区の幼稚園や学校には、防災頭巾とともに、救命胴衣を置くべきだ。

第2章でサスティナブルな文明の条件を論じている。現代の農業が化石肥料に依存しているのは確かだが、無肥料・無農薬を実践されている農業家の方もいる。新しい活動として私は注目している。

第5章で、消費可能なエネルギー資源が縮小するなかでの新しいパラダイムを見つけるべきだと論じている。日本人の耐性は強い。少ないエネルギーで高精度な生産物を創りだす能力を発揮し、日本的なvalueが生み出せれば良い。日本にはまだ知られていない日本の価値がたくさん埋もれている。焼物、織物など伝統的な工芸品に発揮される日本の精緻な技術と、なにより勤勉な精神はどこにも真似の出来るものではない。エネルギー消費を前提とした産業から、日本の伝統といった価値にシフトすることが、これから日本の目指すべき道だ。
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テーマ : 新書・文庫レビュー
ジャンル : 本・雑誌

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『没落する文明』これからの日本人の力はなにか

没落する文明 (集英社新書)萱野 稔人, 神里 達博集英社 ( 2012-02-17 )ISBN: 9784087206302sickboyのバインダーで詳細を見る ■感想 文明がどこに進んで、今までどのような現象と向き合い解決して...

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