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中国人には、ご“用心"!

中国人には、ご“用心"! 』孔 健, 三五館, 2012年9月


日本に在住して17年の孔健氏による中国論。現代中国の様子を伝える本は最近日本で数多く出版されているが、そのたびに新たな発見がある。この孔健という著者の本は今回初めて読んでみた。

孔健氏は中国と日本に活動拠点を置き、中国と中国人を外から眺めることで冷静な視点を得ている。中国人の悪い面を辛らつに暴露し日本人に警鐘を鳴らす一方で、中国人の行動の根底にある考え方を日本人に分り易く紹介することに成功している。

孔健氏の指摘によると、多くの日本人は中華思想を誤解して理解している。最近の中国人の我儘で身勝手な行動を見るにつけ、いきおい中華=自己中心的と理解してしまいがち。だが、言葉には気をつけないといけない。中華思想は中国人にとってはフロンティア精神を宿した祖先の子孫としての自負を表す大切な言葉なのである。

返す刀で孔健氏は日本人を批判する。アメリカには「自由」、「開拓精神」があり、中国に「中華思想」があるのに、日本は受身のみで、海外に発信できるものがないではないか、と。日本のアイデンティティーに関わる深刻な問題は、孔健氏が日中間に身を置き両国を深く理解するからこそ指摘できるものだ。


中国国民の間にはびこる拝金主義を批判しつつ同時に日本の不用心さを批判する孔健氏の記述は面白いと感じた。しかし、こと領土と住民をめぐる諸問題については、日本に長く在住する孔健氏でさえ中国政府のプロパガンダに深く影響を受けている。

モンゴル・チベット・ウイグル・台湾の領土・独立問題については孔健氏は中国政府の公式見解の立場のみからしか記述していない。尖閣諸島をめぐる問題も然り。孔健氏は中国政府から眼をつけられないために中国政府批判を控えているのだろうか。係争下にある領土に住む住民への配慮が全く感じられない。相手の意見や反論にじっと静かに耳を傾ける姿勢を孔健氏からまずは示して欲しい。


タイトルにある「用心」は中国では文字通り「心を用いる」という意味になるらしい。

同じ漢字を用いるために日中間で別の意味となり誤解が生じることがよくある。笑い事で済されない場合もある。『中国人民解放軍の実力』塩沢 英一, 2012年11月でも、漢字のニュアンスの違いが原因で相手に誤解を与えた事例が紹介されていた。中国人とのコミュニケーションでは特に「用心」したいポイントだ。

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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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