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デフレーション

『デフレーション "日本の慢性病"の全貌を解明する』吉川 洋, 日本経済新聞社, 2013年1月

経済学は果たしてデフレーションを克服できるのだろうか。

現実の経済の実態を正しく分析する手段として経済学は確かに有効である。デフレーションの状態は経済学の手法を用いれば正しく数量的に把握される。本書で、この20年来の日本のデフレーションの歴史を明確に図式化することに吉川洋氏は成功している。

しかし、デフレーションを克服する具体的な処方箋は吉川洋氏は何一つ提示していない。ここに経済学の学問としての限界を感じる。

吉川洋氏が示した方策は2つ。一つは新しい需要をイノベーションを通じて達成せよということ。もう一つは賃上げが鍵だということである。

イノベーションを通じた新しい需要喚起が重要だというのはわかる。しかし、これは当たり前すぎて、何をどうすれば良いかこの説明だけからは何も分からない。

一方の賃上げについては、私は吉川洋氏の論にひとつの難があるように思う。経営者が賃上げに踏み切るには、現実の好況の兆しを認めつつ、将来のさらなる好況を期待するものでなければならない。完全なるデフレ状態にあっては、そのどちらも望みえない。

将来のマネーサプライの増大期待によるデフレの克服は、ここ1年の安倍政権の日銀総裁人事からはじまる一連の流れの中で、政治主導による手法が有効であることが証明されつつある。

安倍政権の経済方策のベースとなっている考え方は経済学である。しかし、それを実行に移すためには人の心を動かす強い力が必要だ。日銀副総裁となった岩田規久男氏は象牙の塔を飛び出して、自ら火中の栗を拾った。この英断、勇気こそがいま必要なのではないか。



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Kiankou書評ご参考リンク:
『日本銀行デフレの番人』日経プレミアシリーズ, 2012年6月
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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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