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美雪晴れ みをつくし料理帖

美雪晴れ みをつくし料理帖 (時代小説文庫)』高田 郁 (著), ハルキ文庫, 2014年2月


シリーズ第9作品目。第1巻目からずっと読んできた読者としては、やっと収束に向かって話が進みだしたため、ほっと安堵するところである。思えば、ずっと停滞続きで、見通しが立たないじれったさをこの物語は読者に与え続けてきた。もっとも、停滞といっても、一途な澪の想いは変わらない。困ったとき、周囲が暖かく支えてくれる。じっと下支えしてくれる芯の通った男たち。

抑制の利いた源斎のやさしさが身に沁みる。好きだとか、そんな甘い言葉は一切口にしない。だが、源斎の行動が、何よりも澪を温かく包み込んでいる。澪の良さをよく見抜いた上で、適切なアドバイスを澪に捧げるこの男の限りない包容力。小松原とは違う、滋養に満ちた、母性ともいってよいほどの愛情。「恋愛」といったような平ぺったい言葉ではとても言い尽くせない。澪が源斎をどう思っているのか気になるところであるが、この物語は男女の恋愛話を封印し、ひたすら澪の目指す、ぼんやりと見えかかってきた理想世界を描き続ける。

この物語の精神性の高さは、本の題材が料理以外の別のものであってもきっと同じことが起こるだろう。事実、『出世花』という作品は、全く別の世界を描きつつ、精神性の高さは澪に匹敵する。一心不乱に物事に没頭しつつ、周囲の暖かい心に触れる人々。だが、この世界を描くには高田郁氏は江戸時代を必要とした。人情や精神性の高さは江戸時代にあってもっともよく表現できる。

次回が最終巻。急く気持ちを抑えつつ、2014年の8月をじっと待とう。
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Kiankou

Author:Kiankou
新書・新刊・社会科学・自然科学・経済・青春小説・エッセイ・思想・教育・児童・絵本・書籍の読書感想、書評、レビュー。
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