FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

人びとのための資本主義

『人びとのための資本主義』ルイジ・ジンガレス, NTT出版, 2013年8月

Luigi zingales, A CAPITALISM FOR THE PEOPLE Recapturing the Lost Genius of American Prosperity





アメリカが他国に比べて優位にあるのは競争に根ざしているからだ。ところが、様々な圧力がありその価値観を揺るがせかねない事態に陥りつつある。本書はそんな悩むアメリカへの改善策を示す。本書はアメリカについて書かれた書なのであるが、あらゆる場面で日本の問題点が浮き彫りになってくる本である。

破綻に瀕したAIGへの多額の救済措置にアメリカは怒り、メディケアによる「救済」に反対する団体が声を挙げる。自由主義とその修正主義の鬩ぎ合いはアメリカの大きな課題であるが、日本と比べると根本的な文化・歴史的な違い、隔たりが明らかだ。筆者はアメリカを憂いているのであるが、競争の根付いていない日本こそ事態はいっそう深刻だ。

アメリカは競争の国。自己主張し自立することを小さい頃から学ばされる。これが市場主義、強いものが選ばれる社会を作っている。様々な圧力があるとはいえ、健全な精神は維持されている。

一方で、日本は人との共存、和を重視する。意見を発表しなくても、なんとかなる。競争の価値を前面に出そうとすると、人間関係に冷たい隙間風が吹く。日本は実は、セーフティネットが未発達で、敗者が復活しづらい社会なのだと経済学者の大竹氏も指摘している通りだ。

日本の一番の問題は官僚制だ。日本では米国の「ロビーイスト」にあたる存在は、この「官僚」になるのかもしれない。

日本の官僚は選挙で選ばれた者ではないにもかかわらず、あらゆる面で日本を「搾取」している。ひとたび官僚の自己目的的な目的が設定されてしまうと、誰もとめることが出来ない。医療制度、社会保障はその最たるものである。「代表なくして課税なし」の原則を徹底し、官僚から政治へと決定権を移さなければならない。

民主党は官僚制度に挑戦しようとしたが、大きな壁に阻まれて頓挫した。安部政権は医療や社会保障といった最も重要な問題に触れずに回避してしまった。

日本は健康保険税や社会保障費、消費税等も含めると、課税負担率は現時点で50%にも達し、北欧並みの「社会主義国家」となっている。直接税の低さを他国と比較しても全く意味がない。国家予算を一般会計と特別会計を分けているのも意味をなさないし、官僚の恣意性を高めるためにしか役立っていない。高給な地方公務員実態にも誰もメスを入れることができないでいる一方で、国民健康保険の市町村レベルの負担が高すぎるとみるや、都道府県レベルにて対応するようにと問題の本質を避け現状の維持だけを目的とした制度への変革が官僚主導のもと行われている。専門性を持たない政治家は太刀打ちできない。
本書の翻訳者が巻末に指摘するとおり、東日本大震災復旧支援費の捻出も実需要を見込んだものではなく、結局は官僚の恣意性、自己存在の永続性のみを優先させ、国民を目くらませさせたものである。

制度を変えるのは、政治のプロセスを経なければならない。現状の政治家が対応しないのなら、仕方が無い、私が政党を立てて改革に乗り出すしかないのであろうか。私ひとりではあまりにも微力すぎるし、不十分だ。せめてブログで問題点をすこしずつ書き出して、同志にメッセージを送るところから始めているところである。


スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

Profile

Kiankou

Author:Kiankou
新書・新刊・社会科学・自然科学・経済・青春小説・エッセイ・思想・教育・児童・絵本・書籍の読書感想、書評、レビュー。
新書入門、文庫入門で何を読もうかと迷っていらっしゃる方にも、ご参考になれば幸いです。profile


いろいろなおすすめリスト

週間人気ページランキング


Twitterボタン

Latest journals
Search form
Latest comments
Latest trackbacks
Monthly archive
Category
Link
twitter
Display RSS link.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。