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日本銀行と政治

『日本銀行と政治 金融政策決定の軌跡』 上川 龍之進 中公新書 2014.10


日本銀行と時の政権を担った党がどのような経緯を辿って来たかを省み、日本銀行がその独立性を保つことがいかに難しかったかを本書で論じている。独立性を侵害される日本銀行に同情を寄せつつ、政治圧力を批判的に述べた書である。

政府機関の一部である中央銀行にそもそも独立性は必要なのだろうか。

『デフレの番人』等の著書で舌鋒鋭く切り込んだ日銀副総裁の岩田規久男氏は、インフレ期ではバブルの抑制役としての中央銀行の独立性に意味があるが、そもそもデフレは自分の仕事では無いと壁を作ってしまうため、ここではその独立性が弊害として働くと論じていた。

FRBのグリーンスパンはバブルを発生させたとして批判を浴びるものの、物価といった狭義の政策にとどまらず、景気全般へのコミットをする点で日本銀行とは比べ物にならないほどの影響力を持っていた。民主党から現在の自民党に至る系譜は、デフレの脱出手段のひとつとして日銀を担ぎ出し、インフレ目標にコミットさせることにより、自らは責任を問われない立場を担保しつつ、世間を誘導するという政策を採ったということである。

黒田総裁が就任時にインフレターゲットにコミットしたと聞いて民主党の前原氏が驚いていたときの新聞記事は記憶に新しい。民主党が何度仕掛けてもうまくいかなかったことが、安部政権ではうまく軌道に乗った。日銀の政策変更はアベノミクス全般の政策の中で論じられるべきものであったということだろう。

さてその2%のインフレターゲットは2014年4月の消費税8%への変更による景気の緩みにより達成されるかどうか非常に微妙な状況である。金融緩和は建設業界等一部の業界のみに恩恵が偏っている上、公共投資は従来型の官僚主体によるばら撒きに終始していることが一番の問題点だ。社会保障、医療といった分野については痛みを伴う改革が示せていない。一番の根本原因は官僚主体の従来型枠組みの維持だ。既得権を持つ人のみが利益を得られる仕組みが今日の一番の問題だ。ここに手をつけずして、成長は望めない。

非伝統的な金融政策を現日銀は相変わらず高いペースで実施している。翁邦雄氏の『日本銀行』でも指摘されていたことだが、脱出戦略について現政権は何も示していないのも気になる。



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Kiankou

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