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JAL再建の真実

JAL再建の真実』町田 徹(著) 講談社現代新書 2012年9月

JAL, ANAに次ぐ第三の航空会社と目されていたスカイマークが2015年1月28日に民事再生法適用の申請をした。エアバスA380の購入のキャンセル交渉を進める中でエアバスから購入契約の解除を宣告され、経営が行き詰ったのが直接の原因らしいと私は理解していた。しかし、その根本原因はJAL救済であったとこの町田徹氏が発言している。

スカイマーク航空の経営危機はJAL救済が原因だ。国交省の不毛な介入は新たな破綻を必ず招く!(現代ビジネス 2014年12月23日

上記の記事によると、スカイマークの経営が急激に悪化したのはJALの経営が好調となった2012年以降とのことで、国交省の不毛な規制が混乱を招いているとのことである。その相関関係については私には再検証する手立てもないが、町田氏の規制当局に対する不信感というか、不正なものを嗅ぎ分ける本能的な能力は優れたジャーナリストに特有な感覚であるように私には感じられた。それで、JAL再建策の顛末を読んでみたという次第である。

町田氏は有価証券報告書から日本航空の経営危機を読み取っている。破綻する3年も前からである。果たして、東証一部上場企業の有価証券報告書を読んで、どれだけの方がこれを指摘できたのだろうか。日本航空のお抱えの会計事務所や公認会計士は指摘すれば自分の生活が苦しめられることが目に見えているので、不正だ、などとは決して口外できない。町田氏には企業会計に詳しいブレーンがいると思われるけれども、よく見抜けたものだ。

実質的な破綻を有価証券報告書から読み取った町田氏が週刊誌に日本航空は実質的に破綻状態と書き立てたことに対して、8人もの代理弁護士の連名で、根拠の無い事を書くなと脅しの内容証明が届く。これに対する町田氏の「抗議書」の内容証明が洒落ている。「法律」ではなく、「言論を以って」対抗すると宣言する。これぞジャーナリズム魂である。現代のサムライは筆1本で勝負する。私はこのようなジャーナリズムの活動には敬意を表する。

経理に詳しい西松遙氏を社長に据えた日本航空の経営陣は、結局のところ西松遙氏の経理の手腕を買って、表面的な体裁を取り繕おうと試みただけであった。社長就任前には経営の経理面での問題点を指摘していたという西松遙氏だが、年収960万円の「サラリーマン社長」に成り下がってしまった。日本航空には半沢直樹はいなかった。

それにしても民主党の前原氏は、よくかき回してくれたものである。たしかに日本航空の件では、民主党が第一党になった直後に再建策を「白紙にする」と言っていた記憶がある。ついでに言うと前原氏が中止宣言をした八ッ場ダムは、この2015年2月7日についに起工式が執り行われた。官僚や自民党をともかく否定してみたかったのだろう。第二次大戦が終わった直後の日本でもあるまいし、何でも前の時代のしくみを否定して自己存在を主張しなくても良かったものを。

官僚制度の悪しき風習が広く日本を深く覆っている。官僚と政治家による利権をめぐる攻防。町田氏が官僚に不要な介入をするなといっても無駄だろう。官僚は介入することによって自分の存在を主張するハゲタカ族の一種だ。

日本航空にはもちろん問題があり、きっちり負の資産は精算しなければならないが、それを取り巻く官僚と政治家の構造を根本的に改めないと、同じことが繰り返されるのだろう。


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新書・新刊・社会科学・自然科学・経済・青春小説・エッセイ・思想・教育・児童・絵本・書籍の読書感想、書評、レビュー。
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