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絶望の裁判所

絶望の裁判所』瀬木 比呂志(著), 講談社現代新書, 2014年2月


日本の裁判所、裁判制度に対する痛烈な批判の書である。私は先に瀬木氏の『ニッポンの裁判』2015年1月を読んでおり、内容的には重複する部分もあるが、こちら『絶望の裁判所』はどちらかというと瀬木氏が個人的に裁判所を絶望するに至った経緯と、裁判所の問題点を詳細に挙げている。瀬木氏の主張を理解するには2冊とも読まれることをお勧めするが、こちら『絶望の裁判所』はもやもやとして鬱蒼とした、出口の無い司法制度に対する愚痴のような、どちらかというと後ろ向きの記述が多いため、読み終える頃にはグッタリとする。グッタリとするのは裁判制度に対して唖然とし、自浄作用が望めないことへの憤懣やるせなさ故であって、これを一般向けの著作として著された瀬木氏には敬意を表する。

日本の行政の官僚制度については様々なレポートがあるが、裁判制度については、特に内側にいた人間からのレポートは、仕組み上、外に知らされることが非常に難しいということが本書を読んでよく理解出来た。

裁判員制度が創設された経緯について、それが専ら内向きの政治的な目的であったことを瀬木氏が暴露している。いささか遅きに失している感はあるが、このような説明を聞いたのは本書が初めてである。物事にはすべて表と裏があるものだが、このような不正義が横行して許されるはずがない。

瀬木氏は自らを教授職に向いていると分析しており、それについては他人が口を挟むべきでもないのだが、瀬木氏はジャーナリストないしは政治家となって、裁判所の改革に取り組んでもらったほうが、日本国民全体のためのことを考えると遥かに利益が大きい。裁判所の内幕を暴露出来る人間はそう多くは無い。弁護士等比較的フリーな立場の人間は裁判所に対してもっと自由な意見を持っている方もいらっしゃるとは思うが、いかんせん、外部の人間には分かりづらい部分が多すぎる。

法科大学院の選任教授の地位を保つ瀬木氏に対しても、元同僚や、弁護士からの強い羨望、妬みがあるだろうと想像する。刑事も民事も裁判自体が減少する中で、安定した地位を確保できるのか。法科大学院により司法試験合格者を増やして、さて、どうするつもりか。法科大学院の行き先が迷走する中で、その卒業生を増やすために片棒を担ぐ瀬木氏はその矛盾をどう説明するのであろうか。まあ、瀬木氏にそこまで望むのは酷というものだが。

制度を変えることが出来るのは、政治である。裁判所の仕組みを自らが変えられないのであれば、国民が変えるべきなのである。そのためには現状を理解する必要がある。瀬木氏のような個人のスピンアウトを待つ以外に無いのがつらいところである。





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Kiankou Book Reviews
瀬木 比呂志の著作:

『絶望の裁判所』2014年2月
『ニッポンの裁判』2015年1月
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