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AIの衝撃

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』小林 雅一(著), 講談社現代新書, 2015年3月


さらっと通読。本書の言うところのAIの範囲がやや広すぎる。AIについて述べているのか、先端技術全般について述べているのか全般的に曖昧だ。新書を読むのは文系人間がほとんどだろうから、これでよいのかもしれないが...。

AIと呼ばれている機能を分解していくと、つまるところは純粋に数学の世界に行き着く。将棋の駒の動き、損得などは、限られた条件下で最大値を求める計算式に持っていくことが出来れば、コンピュータに敵うものは無い。人間対コンピュータという図式は、とても興味を惹く。コンピューターには顔も心も無いが、その対戦相手の人間には顔も心もある。機械に負けてしまったときの、いかにも悔しそうに敗戦の弁を唱える棋士の姿が私は好きだ。少々意地悪ではあるけれど、そこに人間らしさが垣間見えるからである。

AIが人類の敵になるというのは幻想だ。確かに使い方を間違えて、悪い方向に使われれば問題だが、社会全体へのメリットが優にデメリットを凌駕する。この本のタイトルは疑問といわざるを得ない。もっとも、新書のタイトルは「手にとって、読んでもらう」ことが第一の目標なのだから仕方の無いところではある。

AIが活用されるシーンを想定してみると、欧米各社の戦略と日本の戦略はかなり方向性が異なっている。

ご存知のとおり日本は元来からエンジニアリング志向。ものづくりが得意である。ロボット等の先端技術にはAIに類する技術が多く使われている。ロボットはリアルタイムOSが制御する。各種センサにより状況を感知しながらアクチュエータを作動させ、同時にセンサからのフィードバックを加味しつつ次の行動の指示を決める。リアルタイムOSは数学式との親和性の高い言語を使用している。結局のところ、地道な数式の積み重ねなのである。トライアルアンドエラーで少しずつ精度と性能を高めるという日本の伝統芸が最も生かされる分野である。日本の技術者にとってのAIは、いわばこれまでの道筋の延長線上にある。日本の得意なエンジニアリング分野を強化するためのツールという位置づけである。

一方でグーグルを始めとした欧米企業はマーケティング志向。いかに主導権を握るかが最大の目的である。グーグルに関して言えば技術力も実力も備えているため、そう単純な話ではないけれども、日本企業の目指す方向性とは明らかに異なる。

上記の差は、これは文化に根ざすものであるから、そう易々とは変更することも出来ないと認識するしかない。マーケティングが主導の現在の経済活動の諸相をみるにつけ、日本の価値観が世界に理解されない事態が増えつつあるように思われる。日本が日本の独自の道を歩むのは良いとして、世界へのアピールの仕方をもっと勉強する必要がありそうだ。


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Kiankou

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