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明治維新

明治維新』田中 彰(著), 講談社学術文庫, 2003年2月


私にとって歴史の学習は現代の理解と将来の指針を得るためのものである。従って近現代を一番重要視しているが、中でも明治維新期には実に様々な新しい未知の現実が多く勃発する。その時の日本人はどう行動したか。田中彰氏による本書はいくつかのキーワードを提示しつつ、明治維新の特徴を立体的に描き出すことに成功している。

本書で扱われている項目があまりにも多岐に渡るため、統一的な書評の形式として記述することは難しい。後から読み返すことを考えて、以下、メモ的な書き方で列挙する。

序章
伊藤博文が1871年にサンフランシスコに降り立ったときの「日の丸演説」。しかし明治維新は無血の革命などでは決して無かったことは本書を通読すればよく分かる。戊辰の内乱、氏族の乱、そして農民の一揆。上からの改革の前後に、各層に渦巻く様々な矛盾が同時に露呈した多難な時期であった。

第一章 「世直し」か「王政復古か」
百姓一揆のピークは1866年。「世直し」一揆の高揚。「共産主義革命に近い」という田中氏の記述が面白い。弥勒菩薩信仰、ええじゃないか、おかげ参り。これらが「宗教的契機」というところがひとつのポイント。天皇と神が結びついた時、庶民の原始的宗教心は政権を担う者はこれをうまく捉えて自分の側へ引き付けることに利用している。

私がここで考えたのは第二次世界大戦後のGHQによる開放政策によるアナロジー。長く暗い戦争に日本人は疲労していた。庶民としては「世直し」をしたいとの思いが強かったところにGHQが現れ、すべてを否定するところから始まったということ。日本人の庶民の間には弥勒信仰が深く根ざしているのではないか。

大政奉還と土佐、薩長のつば競り合い。熾烈な主導権争いは長らく明治政府にネガティブな政治軋轢を増やしていった。

民衆にとっては「世直し」が進むどころではなく、物価高騰が継続し、益々混乱を極めていた。

第二章 戊辰の内乱
戊辰の内乱、鳥羽・伏見の戦い。
倒幕派の策略は、天皇=神の演出。「国威宣揚の震撼(木戸孝允起草)」
 天皇親政によって万国対峙のなかで万民を安撫し、国威を四方に宣布することをあきらかにしたもの。 = 神権的粉飾。

(歴代の自民党党首が揃って靖国を篤く奉るのは倒幕派以来の伝統であると私は理解。)
倒幕派 = なしくずしが得意。天皇を担ぎ、遷都。

五箇条の御誓文のひとり歩き(page 67)
「広ク会議」 → 列侯会議と都合よく解釈。

(日本のデモクラシーの出発点?嘘から出た誠?)

「成分の語句の開明的な抽象性の現代的解釈が、かえって誓文の当時持っていた歴史的性格を見失わせてしまった。」 ← (重要。新政府は字面から想像するほど純粋ではなかった。)

内乱勃発 局外中立宣言 (page 70)

勝・西郷会談(page 71)
新政府に期待をかける諸外国(パークスの影響大)

函館 榎本共和国

靖国神社 = 官軍のみを祭った最大のシンボル。(page 93)

世直し願望のすり替え。
「下からのエネルギーを捉えつつ巧妙にそれを上からのチャンネルに流し込む「明治維新」の論理」

第三章 民心のゆくえ

「偽官軍」事件と

隠岐騒動
出雲党(特権的庄屋)

p 110 新政府は冬眠取り締まりを命ずる
p112 新政府にとっては、正義党も出雲党も、所詮、抵抗する民衆勢力にほかならなかった

(明治政府は権力の掌握、統一が主眼なのであって、民衆の解放が目的ではない)

p113 諸隊反乱と民会
 民主的な要求が含まれる。
 藩政府=維新政府への批判。

倒幕が実現されるや、民衆の心と乖離した。
「上からの」改革に終始した。

防長の一揆 → 民衆の抵抗思想

慶応ー明治、一揆多発。

第四章 統一国家の形成(一)

1866薩長連合

五箇条の誓文
 天皇と公儀のセット。

page 160 立法府としての議政官
 議事 機能せず。

第五章 統一国家の形成(二)

廃藩置県

様々な矛盾抱える。

「版籍奉還」版籍奉還にして廃藩にあらず(大久保、木戸の陰謀)

なし崩しで実施へ。

第六章 天皇の座の粉飾
天皇信仰 いき神信仰 広ク全国に分布 (page 211)
解放者にして正統的支配者 巡幸

神道・廃仏毀釈・キリシタン弾圧

神道の国教化(古代の律令国家の制度を模す)
 神祇官

記紀神話 伊勢神宮(おかげ参り信仰を取り込む)
祝祭日制定(政治的)
天皇が政治を行う。

「皇帝にかわってはじめて天皇という表現がでてくるのは明治13年(1880年)9月30日「国憲大綱」である」page 240

神社は宗教ではない (page 241)

第七章 岩倉米欧使節団
1871.11.12
pag 256 派閥対立と官僚機構

なぜこの時期に出かけたか。

「派閥の対立が統一国家をめざす重大な時期に不測の事態をひきおこそことをもっとも恐れていた」 ー 岩倉使節団に加わった理由

アメリカ、パリ
ベルリン(ビスマルク) 日本の相似形

岩倉使節団の虚実

第八章 内務卿 大久保利通

大久保 物静か
木戸 しゃらしゃらしゃべる、神経質

征韓反対 理由
 米欧先進諸国回覧
 人民の状態
 留守政府から主導権回復


第九章 徴兵令と地租改正

戸籍 「家」の原理に儒教的な考え方が加わる

江戸時代 宗門人別帳

地租改正
 金による支払い。
 混乱多発。

徴兵忌避

第10章 「文明開化」の内実

娼妓解放令
 字面的には開放的。実は違う。

「日本近代化の特質の一つ」


第11章 東アジアの中の日本


明治維新の本質

福沢諭吉 ( page 458)

「明治啓蒙主義の凋落」

第12章 維新の終幕

琉球政策




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Kiankou書評 ご参考リンク

島崎 藤村『夜明け前 第一部 上』新潮文庫, 1954年12月
『明治維新 日本の歴史 16 集英社版』中村 哲(著), 集英社, 1992年9月
『明治維新』田中 彰(著), 講談社学術文庫, 2003年2月
渡辺 京二『逝きし世の面影』平凡社ライブラリー, 2005年9月
『開国と幕末変革 日本の歴史18』井上 勝生, 講談社学術文庫, 2009年12月
福沢 諭吉, 伊藤 正雄(訳)『現代語訳 文明論之概略』慶応義塾大学出版会, 2010年9月
犬塚 孝明『海国日本の明治維新 異国船をめぐる100年の攻防』新人物往来社, 2011年6月
加藤 祐三『幕末外交と開国』講談社学術文庫, 2012年9月



『幕末・維新 シリーズ日本近現代史 1』井上 勝生, 岩波新書, 2006年11月
岩波新書編集部『日本の近現代史をどう見るか シリーズ日本近現代史 10』岩波新書, 2010年2月
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