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モンサント

モンサント 世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業』 マリー=モニク・ロバン (著), 戸田 清 (監修), 村澤 真保呂 (翻訳), 上尾 真道 (翻訳), 作品社, 2015年1月


日米を含むTPP交渉にて強力に自己の利益を追求しつつあると言われるモンサント社に対するルポタージュである。

本書のうちのいくつかについてはTPPおよびGMO(Genetically Modified organisms:遺伝子組み換え生物)について学習した際に既知となっていた情報が含まれるが、これほどまでに広範囲な活動を行ってきた企業とは知らなかった。同社の前身は化学工業を主体とする企業であり、PCBの製造、DDTの販売、サッカリンの製造など極めて毒性の強い薬品を取り扱って来た会社であり、最近では「ランドアップ」という除草剤で日本でもすでにお馴染みの会社であったのだ。

モンサント社の手口は一貫性がある。毒性については、知っていても、自分からは語らない。指摘されても、トボける。利益を第一とし、訴訟すること、されることを厭わない。自社に不利な情報が公開されることを少しでも先延ばしし、将来、訴訟されることに備える。

お抱え学者、企業、団体の数は数知れず。彼らに対抗する団体は一網打尽。ブッシュ大統領はじめ米国政治家はモンサントの手下である。消費者を守ることを至上命令とする日本の厚生労働省をはじめとするお役所が、モンサント社の理不尽な要求をはねつける防波堤となるだろうなどと暢気な考えを抱くのは甘い。日本の企業は利益を追求する団体であることから、外堀を埋められてまで彼らに対抗しきれるかどうか。学者や、第三者と称する団体も、モンサント社の息のかかった強力な宣伝部隊が日本に続々と増殖中である。

読み進めるうち、大きな疑問に行き当たった。過去にこれほどめちゃくちゃな問題を起こしてきた企業が、どうして長期に渡って生きながらえてきたのであろうか。

この本の脚注には丁寧に日本の読者のために日本語の関連書籍が記述されている。これはこれで助かるのだが、大概の書籍は、ずいぶんと古い。10年以上前のものが多く載せてある。つまり、10年以上前から、これらの問題は指摘されてきたにもかかわらず、何も解決していないことを示している。

生半可な知識を片手に素人は科学を論じてはいけないと専門家に一喝されることが多い。生化学や遺伝子操作といった情報は専門家が安全性を判断すべきなのであり、「わかりやすいニュースに踊らされてはいけない」と諭される。

たとえば、こちらのリンクの記述はどうだろう
ラウンドアップに発がん性? 簡単、わかりやすいニュースに踊らされる前に、もっと詳細をみてみよう|FOOCOM.NET

上記のリンクは毒性については「要するに、IARCの今回の分類は賛否両論。しかし、WHOのほかの機関の評価とも大きな矛盾がある、という事実は押さえておいた方がいい。これだけで「市場追放だ」と息巻くのは、科学的にはちょっと恥ずかしい行動だと思います。」と書いてある。

モンサント社の背景を知らずに上記のコメントを書かれたとすると、これはかなり恥ずかしい。この方は、モンサント社のお抱え記者の一人なのだろうか?


モンサント社は情報量の非対称性を武器に、情報を秘匿し、専門家を抱え込むことで隙を作らない。モンサント社にお墨付きを与えている政府団体や学者を信じてはいけない。彼らは生活のためにモンサント社に従っているに過ぎない。政府団体や学者はそれが長期的にどのような意味を示しているのか、自らは判断出来ない状態にある。ちょうど、3.11後の原子力発電所事故で次々と問題が明るみに出たのと同じ構図である。

TPPに関わるGMOの問題としては、表示の問題がある。これはずいぶん前から指摘されてきた問題である。例えば岩波新書では『消費者の権利 新版』正田 彬,岩波新書,2010年2月に遺伝子組み換え食品の表示問題が扱われていた。GMOの表示問題は、日本のみならず、米国でも大きな問題になっていることが今回の本で確認できた。現在の表示制度さえ、GMOにはかなり緩い制度なのだが、これを、さらに緩めようというのがTPPの趣旨であると伝え聞いている。

すでに日本にも深く入り込んでいるモンサント社。油断できない相手である。



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Kiankou books review ご参考リンク

『消費者の権利 新版』正田 彬, 岩波新書, 2010年2月
『遺伝子組み換え食品との付き合いかた GMOの普及と今後のありかたは?』元木 一朗, オーム社, 2011年11月
『モンサント 世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業』 マリー=モニク・ロバン (著), 戸田 清 (監修), 村澤 真保呂 (翻訳), 上尾 真道 (翻訳), 作品社, 2015年1月
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