FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

その問題、経済学で解決できます。

その問題、経済学で解決できます。』 ウリ ニーズィー (著), ジョン・A. リスト (著), Uri Gneezy (原著), John A. List (原著), 望月 衛 (翻訳) , 東洋経済新報社, 2014年9月


行動経済学を中心とした新しい経済学の分野が拓かれつつある。この本の面白いところは実際に比較実験をおこない、よりよい施策を見つけ出すことが可能であることを実証している点である。教育、差別、貧困、慈善活動。人々が行動を起こす原理を解明することにより、どのようなインセンティブが有効であるかを検証していく。

このような実験が可能であること自体がまず驚きである。日本ではこのような調査のために投資する社会背景が育っていない。調査のために惜しみなく金を投資できる胴元が存在するアメリカ社会の奥深さを実感する。

調査に対する考え方が日本とはまず異なる。問題点を明らかにするために、ともかく、やってみる。閉鎖的な日本ではなかなか受け容れられない考え方だ。

本書の個別の問題提起と解決に結びつく手法をみると、かなり問題が含まれている。たとえばシカゴの教育問題については、実験と称して、クジに当選したものだけが幸運な恩恵に預かることが出来る。くじに当たらなかった者にとって、同じ税金を払っているにも関わらず、恩恵は受けられない。運・不運だけで大きな差異が発生するのは正義に反する。今回はあくまで「実験」であるとしても、胴元には金銭的な限りがある。社会の安定に結びつくことであれば税金の用途としては理解も得られるだろうから、今回の実験は一時的なものであり、非行少年がいなくなり、社会が明るくなった折には、十分意義があると実証する必要があるはずだ。

性別の差別問題については根が深い。就業機会と賃金の関係でいえば、会社内での男女差別が発生しないように、女性だけの会社が増えてくれば一つの解決策になるのかもしれない。

定型的な手法でない、独創的な方法。よく物事を観察して、テストしてみること。このアプローチは応用が利く。イノベーションを生むのはこのような精神だ。




---
Kiankou Books Review

エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10(日本経済新聞,2014年12月29日掲載)

1.『労働時間の経済分析 超高齢社会の働き方を展望する』山本勲/黒田祥子
2.『ミクロ経済学の力』神取道宏
3.『量的・質的金融緩和 政策の効果とリスクを検証する』岩田一政
4.『それでも金融はすばらしい 人類最強の発明で世界の難問を解く』ロバート・J.シラー
5.『サービス産業の生産性分析 ミクロデータによる実証』森川正之
6.『地方消滅 ー 東京一極集中が招く人口急減』増田寛也
7.『なぜ貧しい国はなくならないのか 正しい開発戦略を考える』大塚 啓二郎
8.『コーポレート・ガバナンス』花崎正晴
9.『アダム・スミスとその時代』ニコラス・フィリップソン
10.『その問題、経済学で解決できます』ウリ・ニーズィー、ジョン・A・リスト
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

Profile

Kiankou

Author:Kiankou
新書・新刊・社会科学・自然科学・経済・青春小説・エッセイ・思想・教育・児童・絵本・書籍の読書感想、書評、レビュー。
新書入門、文庫入門で何を読もうかと迷っていらっしゃる方にも、ご参考になれば幸いです。profile


いろいろなおすすめリスト

週間人気ページランキング


Twitterボタン

Latest journals
Search form
Latest comments
Latest trackbacks
Monthly archive
Category
Link
twitter
Display RSS link.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。