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日本の納税者

日本の納税者』三木 義一, 岩波新書, 2015年5月

本書は納税意識の低い方、学生の入門を意識されて書かれたのだろう。納税者の権利意識を高めるべきだとの総論については賛同する。年末調整制度と、企業による納税代行が、サラリーマンの多くが税について深い知識を持たせないようにしている元凶なのである。

しかしながら、青色申告事業者である私の視点から見ると、最近のトレンドについての記載が抜け落ちており不満が残る。

たとえば、以下の記述を読むとかなり誤解を受けるだろう。

「給与所得者の年末調整のために、給与所得者には実額控除がなく、やや多めに法律で決められた金額を控除するだけである(page 57)」

給与所得者は3割が基礎控除分として控除される。個人事業者にとって、売り上げの3割を控除とするのは並大抵のことではない。「やや多めに」と感覚で語られても困る。さらに、最近では特定支出控除でスーツなど業務に必要と認められる支出については確定申告により最大65万円まで還付される仕組みが昨年度から創設された。この時期に書かれるのであれば、入門書とはいえ当然触れるべき内容だ。

給与所得の平均税額が4.3%だと書いてある(page 5)が、これは実態を反映しているとは言いがたい。正規雇用者・非正規雇用者等に分けて分析すべきであるし、私の実感としては、国税については様々な控除があるため少なく見られる可能性がある。社会保障費と健康保険を併せて計算すべき。

トマス・ピケティについて論じるのであれば、小泉政権下にてフラット税制を実施して高額所得者を優遇した改悪について論じるべきだ。ちなみに、平成27年度からは高額所得者については税額がアップする。

No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁


納税者は頼る者がいないのか。確かに、サラリーマンを続けている限りにおいて税理士や会計士のお世話にならなければならないのはごく限られた高額所得者層だけであろうし、そのような方はそもそも誰に頼る必要こそ、そもそもない。

問題は、学校を卒業後に直接サラリーマンになり、その後転職することも脱サラすることもなく過ごしている方。それらの方は、私もかつてそうだったが、税に対する意識が非常に低い。たとえば確定拠出年金は控除が増えるので従業員には有利な制度なのであるが、会社側がそのような制度を利用する環境を整えていないかぎり、利用できない。雇用者側の意識として、会社側にそのような制度が無い場合には準備するように働きかけるべきなのである。確定拠出年金自体は大手企業では浸透してきたようだが、納税者、従業員の権利という意識を高める工夫が必要である。

たとえばひとつの案だが、日本国民の納税意識を高めるために、大学等卒業後にいちど個人事業者となってみる制度があると良い。百聞は一見にしかず。個人事業者となってみると、税、社会保障、健康保険、その他諸々の制度のしくみと問題点が非常に明確に理解できるようになる。幸い、ネット上には無料の会計ソフトもある。仕組みを理解するためには税理士も会計士も不要だ。

会計士も弁護士も、人数を増やしすぎて問題になっている昨今である。これは会計士・弁護士といった人数を増やすことで学校や講師が儲かる仕組みをつくろうと策略した一部の人間の陰謀だ。実態としての需要が無いのに、仕組みだけを作り出してしまった愚かさ。

納税者はそんな事には乗せられることなく、粛々と、自ら勉強して税の仕組みを理解し、超高齢化社会に備えよう。


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新書・新刊・社会科学・自然科学・経済・青春小説・エッセイ・思想・教育・児童・絵本・書籍の読書感想、書評、レビュー。
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