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税金逃れの衝撃

<税金逃れ>の衝撃 国家を蝕む脱法者たち』深見 浩一郎(著), 講談社現代新書, 2015年7月


公平で公正な税制度はいつの時代においても実現は難しい。ITを駆使して全世界を活動場所とする多国籍企業においては合法的に税を逃れる方法を血眼になって探し続けている。富裕層は税逃れのために楽々と海外へ移住する。割りを食うのは、国内のみを対象に営業活動を行っている中小企業と、海外に移住する術を持たない中間層である。日本ではまた経済格差が激しく、貧困が問題になっている。


深見 浩一郎氏は結論部分においては社会福祉的政策の観点から公平・公正な社会の実現のために適切な税制度が必要と論じていたが、これはそれに止まらず、もっと重要なインパクトを秘めている。

先日読んだ『ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来』広井 良典, 岩波新書, 2015年6月では、資本主義を支えるためには経済において自由は制限されるべきだとの論を展開しており、非常に興味深かった。特に、r > g 論をピケティが展開して以降においては、人生の最初の段階での資本の有無がその後の人生を決定しているとすると、資本主義の一番重要な要素であるはずの「平等」が保障されない深刻な事態に陥ってしまうことになるのである。

その意味では深見 浩一郎氏の累進課税性の強化と世界各国と提携しての資金の補足の努力は今後とも是非強化を続けて欲しい。

さて、本書は一貫として「税金逃れは許されない」との視点から書かれているのではあるが、ある意味ではGoogleやAppleなど、合法的な税金逃れを極める多国籍企業に対して羨望の眼差しを投げかけている。第2章 page 100に記載されている各国の平均税負担率で日本が突出して高い負担率となっている事実は衝撃的である。ある意味では日本企業がまじめに納税に勤しんでいる証左でもあるが、反面、多国籍展開を目指さず、また、IT化やファブレス化といった新しい環境への企業の適用が遅れていることに他ならない。深見 浩一郎氏が指摘するように、日本企業の生産性が低く、競争力が低いのも、このあたりに原因が潜んでいる。

ただし、本書第一章でルクセンブルクが一人当たりGDPで上位にある理由として金融・経済のグローバル化を理由として挙げている点については、少々別の視点から疑問が残った。ブリュッセルはEUの本部でありユーロ管理の中心地。ドイツの強権的なEUメンバー支配を補佐すべく、ブリュッセルは官僚が支配する国。そのポリシー決定プロセスは多いに疑問が残る。イギリスがユーロ、そしてEUと自らを距離を置こうとしているのは、この視野狭窄的に凝り固まったシステムに同意できないからである。


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