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オオカミがいないと、なぜウサギが滅びるのか

オオカミがいないと、なぜウサギが滅びるのか』山田 健, 知のトレッキング叢書, 集英社インターナショナル, 2015年6月

まとめ
・生態系の話から始まり、森林、土壌、農業のあるべき姿を語るエッセイ
・エコロジーとか、何か農業に関わりを持ちたいとか、問題意識を持っている方が読めば色々な想いが心の中で勝手に広がって行く本


生態系ピラミッドが壊れたら

日本人は愚かにもニホンオオカミを絶命に追いやってしまった。その結果、天敵を持たないシカなどが大繁殖し、食害のため生態系全体が大きく崩れてしまった。

もしかしたら、もう取り返しの付かない事態に進んでしまったのかもしれない。ひとたび崩れたバランスは、もう元の形には戻れない。ニホンオオカミの代わりはニホンオオカミにしか勤まらない。

私は、その一方で、もしや、とも思う。壊れた生態系は、新たなバランスの均衡を求めるものだ。増えすぎたシカのため餌が極端に不足すれば、自ずと頭数は頭打ちになる。だがシカの頭数が頭打ちになるまで自然の摂理に任せて何もしないで良いのだろうか?何もしない間に山野は丸裸になってしまう。各地のシカの害が言われて久しいが、さりとて決め手となる対策は皆無である。シカにしか罹らないような特殊なウイルスが蔓延して頭数が激減することを勝手に祈るしか無いのが現状である。

ところで、人間もまた生態系の一部である。増えすぎた人口を減らすため、コレラやチフスなどの疫病が過去に何度も発生した。だが人間はそれらを克服してきた。生態系からの離脱を求める人間の希求が、人間をゆっくりと、だが確実な危機へと導いているようにも思える。


生態系ピラミッドの底辺を支える土壌

土壌の生態系は私のような都会のマンションに住む者であっても実感することができる。

私の住むマンションのベランダでは、花やハーブなどを少し育てている。今年はこれに加えて、生ゴミによるコンポストを始めてみた。

コンポストといっても、至って簡単なもの。ホームセンターから買って来た培養土が入っていた袋に、花を育て終わった後に排出される残土を貯めて、これに日々の台所から排出される野菜くずなどを混ぜていくだけである。少量の米のとぎ汁を混ぜ、陽の光を数時間だけでも浴びせると、微生物の助けも借りて、袋がほっかほかになる。

これが、ことの他、面白い。花や野菜を育てることよりも、「土」をつくることがこれほど面白いとは思わなかった。こんな簡単な体験からでも見えて来るものがたくさんある。


兼業農家はあるべき姿か

趣味として野菜や花を育てるのと職業とするのはまったく別と私は考える。本書で山田健氏は兼業農家的な緩い農業の手法を推奨されているけれども、これには私は賛同出来ない。農業のプロの中には究極の「無農薬 無肥料 不耕起」を実践されている方もおられる。それがいつでも正しいという訳では無く、研究・観察など不断の努力の結果なのである。もしかしたら正しい方法とはそれぞれの人、土地、農作物によって異なるのかもしれない。それを片手間の趣味もどきで取り組む人が達成できるとは考えられない。本書で山田健氏が語っているのはユートピア論であって、そのまま実践につながるものではないと考えるべきだろう。


洗練された企業PR活動

当初はサントリーの企業イメージ向上戦略の一環を担っているのは間違いないし、山田健氏はこの著作の中で明に暗にサントリーの宣伝も行っているが、悔しいかな、山田氏の語りは嫌みを感じさせない。これは創業者鳥井信治郎氏以来の同社の伝統なのだろう。

ところで、阿蘇山の麓にある同社の工場は昨年(2016年)の熊本地震で大きな被害が出た。


復旧は2016年11月になった→ サントリー熊本工場 被災設備を復旧、ビール製造再開

災害の復興には企業が雇用を継続することがなにより重要である。

なお、本書では九州大学とタイアップして熊本県益城町にて「冬水田んぼ」の実験をした件が報告されている。
水の都 熊本の地下水涵養に「冬水田んぼ」で貢献する

上記の記事は2013年の記事である。2016年の地震が影響を与えなかった訳が無いと思われる。継続的、長期的にこのような調査を継続して戴きたい。

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Kiankou book reviews ご参考リンク
『水を守りに、森へ 地下水の持続可能性を求めて』山田 健, 筑摩選書, 2012年1月
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新書・新刊・社会科学・自然科学・経済・青春小説・エッセイ・思想・教育・児童・絵本・書籍の読書感想、書評、レビュー。
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